第一人者が教える 認知症のすべて

夫が義母の認知症を認めたがらない…まずはかかりつけ医に相談

真摯に気持ちを伝えて…(C)日刊ゲンダイ

「お義母さんの様子がおかしいと言っても、夫は『そんなはずはない』の一点張りでした」

 西日本に住む40代の女性は、夫と大学生の息子の3人暮らし。コロナ禍で2年近く電話だけのやりとりだった義母としばらくぶりに会ったところ、「以前はこんなふうではなかった」という点がたくさんあったのです。

 部屋が雑然とし、料理がしょっぱい。冷蔵庫の中には賞味期限が切れた食材がたくさん入っていて、それだけではなく、テレビのリモコンやメガネなども入っている。孫を、息子の名前と間違えて呼ぶ。何回も同じことを聞く--。

 女性はインターネットでいろいろ調べ、認知症を疑ったものの、いくら夫婦とはいえ、夫に「お義母さん、認知症じゃない?」とは言い出せず。冒頭のように「様子がおかしい」と伝えたのですが、夫は全く認めようとしない。そればかりか、「おふくろがボケたって言いたいのか」と怒り出す始末でした。

1 / 5 ページ

新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

関連記事