高齢者の正しいクスリとの付き合い方

剥がれてしまった「貼付薬」は再び貼り直さないほうがいい

写真はイメージ

 クスリには「貼付薬」があります。湿布薬はもちろんですが、それ以外にも成分によっては気管支喘息、狭心症や心筋梗塞、認知症、パーキンソン病などの治療に用いられています。

 高齢者の中にはこういった貼付薬を使っている方も多くいらっしゃると思いますが、汗をかいたときや衣類とこすれて剥がれてしまったという経験はないでしょうか。今回は、貼付薬が途中で剥がれてしまった場合にどうすればいいのかについてお話しします。

 結論から言うと、剥がれてしまった貼付薬は粘着力が残っていたとしても再度貼らないほうがよいです。なぜなら、「再度貼った貼付薬は期待通りの効果を発揮できない」ことがほとんどだからです。

 貼付薬は皮膚からクスリの成分が吸収されることで効果を発揮します。そして、湿布薬を除く貼付薬は基本的に1日1回貼るだけでよく、1回で24時間効果を発揮するように作られています。じつはこれは単純なことではなく、クスリの成分が24時間安定かつ確実に皮膚から吸収されるように、貼付薬にはさまざまな工夫がなされています。一度貼った貼付薬が剥がれると、こういった工夫の効果が失われてしまうのです。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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