感染症別 正しいクスリの使い方

【クリニカルパス】手術での「抗菌薬の適正使用」が進んだ大きな要因

写真はイメージ(C)iStock

 こうした「手術時の抗菌薬の適正使用」がここ20年ほどで一気に進んだ大きな要因として、「クリニカルパス」の活用が挙げられるのではないかと考えます。クリニカルパスとは、医療スタッフと患者さんが治療計画の情報を共有するために、標準化したルールで患者さんの治療・検査のスケジュールを時間軸に沿ってまとめたものです。

 クリニカルパスは、手術の術式ごとにそれぞれの病院で作成していることが多く、「この術式では手術前後でどの種類の抗菌薬をどれだけの期間投与するのか」を事前に決めているのです。また、クリニカルパスには、患者さんが入院されてからの治療や検査の予定以外にも、看護師のケア、薬剤師や栄養士による指導計画なども記してあります。

 このように事前に詳しく予定を立てておくことで、“抜け”を防止することができますし、クリニカルパスを患者さんにお渡しすることで、患者さん自身も安心して治療や検査を受けることが可能となるのです。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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