こうした「手術時の抗菌薬の適正使用」がここ20年ほどで一気に進んだ大きな要因として、「クリニカルパス」の活用が挙げられるのではないかと考えます。クリニカルパスとは、医療スタッフと患者さんが治療計画の情報を共有するために、標準化したルールで患者さんの治療・検査のスケジュールを時間軸に沿ってまとめたものです。
クリニカルパスは、手術の術式ごとにそれぞれの病院で作成していることが多く、「この術式では手術前後でどの種類の抗菌薬をどれだけの期間投与するのか」を事前に決めているのです。また、クリニカルパスには、患者さんが入院されてからの治療や検査の予定以外にも、看護師のケア、薬剤師や栄養士による指導計画なども記してあります。
このように事前に詳しく予定を立てておくことで、“抜け”を防止することができますし、クリニカルパスを患者さんにお渡しすることで、患者さん自身も安心して治療や検査を受けることが可能となるのです。
感染症別 正しいクスリの使い方