役に立つオモシロ医学論文

子供のインフルエンザワクチンのベストな接種タイミング

接種から免疫機能が高まるまで一定の時間がかかる

 インフルエンザワクチンの接種は、毎年10月上旬から開始されることが一般的です。ただし、ワクチンを接種しても、免疫機能が高まるまでには一定の時間がかかります。

 一方で、ウイルスに対する免疫の持続は数カ月であり、毎年のワクチン接種が必要となります。  インフルエンザ予防においては、ウイルスの流行期に合わせて最適なタイミングでワクチン接種をすべきですが、接種タイミングに関する質の高い研究データは限られていました。

 そんな中、子供に対するインフルエンザワクチンの接種タイミングを検討した研究論文が、2024年2月21日付で英国医師会誌に掲載されました。

 米国で行われたこの研究では、インフルエンザワクチン接種を受けた2~5歳の小児81万9223人が対象となりました。

 米国では、子供の定期健診が誕生月に行われることが多く、健診時にワクチンの接種スケジュールも調整されます。このような小児医療の環境を利用することで、子供の誕生月とインフルエンザワクチン接種との関連性、その後のインフルエンザ感染症の診断率が調査され、最適なワクチン接種のタイミングが検討されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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