薬不足で大ピンチ! インフルエンザから身を守るには?

 今年も寒さが一段と身に染みる季節を迎えた。この時期ともなると何かと話題を集めるのがインフルエンザの流行に関することだ。全国の小・中・高校で学級閉鎖が相次いでいるという今、インフルエンザにかからないようにするにはどうしたらいいのかを考えてみた。

■今年は例年と流行のパターンが違う!?

 インフルエンザには気温と湿度が下がる季節に流行する特徴がある。例年12月中旬くらいから流行が始まって1、2月にピークを迎えるという、そうした流行の形態を何十年もとってきた。ところが、今年に関してはそのパターンが当てはまらずこれまでにない流行の仕方を見せているのだという。この点を東京ビジネスクリニックの内藤祥先生はこう説明する。

「去年の冬に中程度の流行がありました。その後、流行が完全に収まらずに春も夏もだらだらとインフルエンザが発生し続け10月中旬くらいからまた少しずつ感染者が増え始めて現在は去年と同じくらいの中程度の流行になっているというのが今の状況ですね。症状に関していえば高熱が出たり、激しい寒気や頭痛、強い倦怠感があるのがインフルエンザの特徴ですが、これも今年の多くの患者さんに見られる特徴でその点は例年とは変わりありません」

 では、どうしてここに来てインフルエンザの流行パターンが変わったのだろうか。

「おそらくコロナの感染症が長引いたことによって世の中のウイルスの流行や人間のバイオリズムとか、そういったことに変化が起こったのではないかと思いますね」(内藤先生)

■一番の弊害は「対策できない」

 インフルエンザの流行時期がずれてしまったことによって弊害も出てきていると内藤先生はいう。一番の大きな弊害は対策ができないということだ。

「インフルエンザは何十年も前から12月~2月に大流行するのが分かっている感染症でしたので、これまでは毎年国の政策で10月~12月の3カ月でワクチンをたくさん製造して全人口の50~60%が毎年ワクチンを打っていました。ところが、今年はワクチンを作り始めた9月にはすでに流行が前倒しでやって来ていましたので、本来ワクチンを打って感染に備えるという予定が完全に崩れてしまって多くの人はワクチンを打つ前にかかってしまったのです」

(C)日刊ゲンダイ

■医療現場を悩ませる薬の不足

 さらにもう1つ、医療の現場には大きな問題がある。

 それは3年ほど前から一般的な風邪の症状やウイルス感染に使う医薬品が不足しているということだ。

 それにはいくつか理由があるが、内藤先生は、

「国の薬価(販売できる価格)が製薬メーカーにとって増産に結びつかないような価格だったり、流行の先読みがなかなかできず計画的な生産ができないこともあるでしょうし、コロナを中心に一般的な風邪の症状を持っている人が多かったり、それに備えたりということで薬自体の消費量が増えていることも考えられますね。今、私たち医師はいろいろとやりくりをしながら診療にあたっていますが、いずれにしても製造側と使用者側双方の要因がありますので、この薬不足の問題はまだしばらくは続くのではないでしょうか」

 と懸念する。

■自分の体は自分で守る!

 インフルエンザの流行期を迎えている今、薬が不足しているという現状を考えると何よりも大切なのは体の免疫力を高めてインフルエンザの感染からしっかり予防することに尽きるだろう。そのためにはどうしたらいいのか、最後に内藤先生にお聞きした。

「コロナとの戦いの中で私たちがこれまでしてきたこと、もしくは今していること、例えば手洗いをマメに励行する、症状がある人はマスクをきちんとする、発熱があったり体調不良がある場合には会社や学校を休んで他人に移さないようにすることが大事ですね。それ以外には睡眠をしっかりとったり、ヨーグルトには免疫力のアップに効果があることはいろいろな研究データが出ていますので、体調を整えたり抵抗力を維持するための1つの手段として活用するのもいいかもしれません」

 内藤先生は医療従事者としてインフルエンザにかからないよう早寝早起きを心がけるなど常日頃から規則正しい生活を送るようにしているという。そんな先生をわれわれも大いに見習って、インフルエンザからしっかり身を守りたいものである。

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