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高齢者に対する「エイジズム」がアメリカの医療で問題化

「高齢者」と一括りにしないことが大切(C)iStock

 アメリカの医療機関で、高齢者に対するエイジズム(年齢差別)が問題になっています。

 日本ではあまりなじみがない言葉かもしれませんが、エイジズムはレイシズム(人種差別)などと共に人権侵害のひとつです。

 例えば、高齢者の患者に対し大声で話しかける。高齢者は全員聴覚に問題があると思い込んでいるからです。

 また医師は患者ではなくその家族に話しかけ、患者を自由意志がある個人として扱わない。時にはまるで小さな子供のように扱う。症状を訴えると、それは年齢から来るものだと決めつける……。

 このようなエイジズムからくる偏見により、適切な治療が受けられないだけでなく、心を傷つけられる場合も少なくないと専門家は指摘します。

 その背景には、高齢者を個人ではなく、自分たちとは違う「1つの大きな集団」として見る傾向があります。当然あるべき個人差はそこでは無視されてしまいます。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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