Dr.中川 がんサバイバーの知恵

がん闘病中の小倉智昭さんが直面…「最後の治療」に垣間見える家族力

小倉智昭さん(C)日刊ゲンダイ

 番組で「生きることへの考え方」を問われると、「昔はぽっくり逝くのが理想だった」としつつも、「(いまは)がんの方が“ゴール”が見えてくるじゃない。準備ができる」と考え方が変わったことを口にされています。

 その言葉通りで、がんの治療は“そのとき”に向けて家族や仲間と準備ができるのがよいところです。私も講演などではそこをよく説明していて、小倉さんも実感されたのでしょう。

 小倉さんの奥さまは、母の介護で実家に戻ることもあるそうですが、その分、ラインでのやりとりを増やし、「1日に何回も」メッセージを送るそうです。1人暮らしでも「夫婦間の思いやりは強くなった」と笑顔で強調できるのは、闘病が家族力を高めた何よりの証拠。「最後の治療」という言葉は重いですが、それを受け止めて乗り越えることは悪いことではありません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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