「膝の痛みに対しては、ロキソニンなどの『非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)』が効果的とされる一方で、長期間服用すると胃腸障害だけでなく、逆に軟骨が摩耗して膝痛を悪化させるといった報告があります。また、炎症や痛みがひどい場合に使用されるステロイド注射も、骨粗しょう症を引き起こすリスクがあり、頻回な投与は控える必要があります」
保存療法で症状の改善が見られない場合に適応される人工関節置換術は、痛みを安全に取り除いてQOLを改善させる効果が高いとされているが、約3割は手術を受けても痛みが残るといわれている。このような背景から、新たな治療薬や治療法の開発が求められている。
■新薬開発の第一歩
そんな中、森岡氏らの研究で、変形性膝関節症の痛みを和らげる治療薬として期待できる“標的”が発見されたという。