「変形性膝関節症」痛みを抑える新たなメカニズムがわかった

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「以前から行ってきた研究で、原因がそれぞれ異なる慢性痛を持つマウスに対して、細胞の中(核内)にある受容体のひとつである『REV-ERB』を薬物で刺激すると、慢性痛を改善することが分かっていました。そこで今回、変形性膝関節症を発症したマウスの膝関節内にREV-ERB刺激薬を投与したところ、偽薬を投与したマウスのグループと比較して痛みが緩和されると分かりました」

 また、大腿骨にある軟骨組織の厚さを測定したところ、軟骨のすり減りも抑えられていた。さらに、ラットの膝関節内の軟骨組織をつくる軟骨細胞を培養し、人為的に炎症を生じさせて痛みのもととなる炎症物質が増加するのを確認し、そこにREV-ERB刺激薬を投与すると、炎症物質の増加が抑制されたという。

「先述したように、既存の治療法として広く用いられているNSAIDsのような消炎鎮痛薬は軟骨がすり減る副作用があり、生涯にわたって服用するのはリスクが伴います。今回の研究から、REV-ERBを刺激する方法は人間に対しても既存の治療法とは異なった効果を示せるのではないかと考えています」

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