将来的な妊娠を見据えて広まりつつある「卵子凍結」の実態

妊娠率は体外受精と変わらない

 昨年9月、東京都は将来の妊娠に備えて「卵子凍結」を希望する18~39歳の都民に対し、最大30万円の助成金を支給する方針を決めた。少子化対策の一環で、それくらい一般にも普及しつつある。医療法人オーク会の船曳美也子医師に聞いた。

 卵子凍結は、将来に備えて卵巣から採取した卵子を凍結保存すること。抗がん剤治療による影響を避けるためがんの治療前に行う「医学的適応」と、健康な女性が将来の妊娠に備えて行う「社会的適応」の2つに分けられる。日本では、2013年に社会的適応に対するガイドラインが日本生殖医学会によって整備され、近年はがん患者だけでなく、キャリアプランやライフプランに悩む女性たちの選択肢として、卵子凍結が広まりつつある。

「晩婚化に伴い、第1子を希望される年齢も高くなっています。精子は年齢を重ねても妊娠能力に影響が少ないのに対し、卵子の場合、加齢に伴い老化して質も低下します。胎児の染色体異常のリスクも高まるので、なるべく若いときの卵子を採っておくことが望ましいのです。患者さんは30代に多く、オーク会では年間100~200人が卵子凍結を受けています」

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