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白血病を克服した池江璃花子選手の復活は患者にとって大きな励みになった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 最近の明るい話題として、競泳の池江璃花子さん(23歳)が、今年8月に開催されるパリ五輪への出場を決めたことが挙げられるでしょう。

 2018年、池江選手は抜群の強さをみせ、期待されていました。50mと100m自由形、50mと100mバタフライ、400mフリーリレー、400mメドレーリレーの6種目に出場し、そのすべてで優勝でした。しかし、突然、「急性白血病」と診断され、2019年に入院治療されました。

 急性白血病の治療には、抗がん剤と大量のステロイドが使われ、それによる筋力低下は必至です。治療の詳細は分かりませんが、造血幹細胞移植を受けたとすると、さら全身のダメージは大変だったと思われます。当時、池江さんが「思っていたより、数十倍、数百倍しんどいです。 三日以上ご飯も食べられない日が続いています」と語ったと報じられていた記憶があります。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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