がんと向き合い生きていく

白血病を克服した池江璃花子選手の復活は患者にとって大きな励みになった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 幸い病気を克服され、そして競泳にも復帰し、見事に復活されたのです。さらに、パリ五輪の日本代表選手になりました。3月のパリ五輪代表選手選考会をテレビで拝見しました。おそらく、本番までにはさらに記録を更新するだろうと思われました。

■努力が報われるよう応援したい

 急性白血病の闘病だけでも大変なことなのに、短い期間に日本代表にまで回復されるのは至難のことです。もしかすると、池江選手にとって「目標があった」「競泳があった」ことで、より頑張れたとも察しますが、それでも並みのことではありません。白血病で闘っているたくさんの患者さんにとっても、大きな励みになったと思います。 白血病治療では、病気そのものによる免疫機能低下、さらに抗がん剤治療による白血球数減少による、重篤な感染症や臓器機能低下などが心配されます。おそらく、無菌病棟で過ごされた期間もあったでしょう。それを見事に克服され、通常の生活に戻るだけでなく、五輪代表になられたのです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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