がんと向き合い生きていく

白血病を克服した池江璃花子選手の復活は患者にとって大きな励みになった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 病院によっては、敷地内の一角に自転車などのトレーニングルーム設備があるところもみられます。本人の努力だけではなく、周りの方々、医療者、特にご家族の献身的な協力があってのこととも思います。

 女子競泳で思い出すのは、昔のラジオ放送での「前畑がんばれ」です。1936年8月、ラジオからのアナウンサーの絶叫が、真夜中の日本中に響き渡りました。長崎宏子さんは、1980年の“幻のモスクワ五輪”で、小学生初の日本五輪代表となりました。また、14歳の若さで1992年バルセロナ五輪の女子200メートル平泳ぎで金メダルに輝いた岩崎恭子さんは、「今まで生きてきた中で一番幸せです」と語りました。

 池江選手は、「未来は自分で変えていくものだと思っている」「努力は必ずしも報われるものではない。だけどその努力が報われるまで努力し続ける」--そう語っているようです。池江選手が五輪でどんな活躍をされるのか。努力が報われますように、応援したいと思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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