これらの研究から読み取れることは、無理のない歩行でも海馬のアセチルコリンが増え、海馬の血流が良くなるということ。高齢者では、記憶などの機能をつかさどる海馬で脳血流の低下が見られますが、それが歩行で改善できるかもしれないのです。歩くことは、脳の血流を良くするだけでなく、認知機能維持につながるさまざまな効果があります。フレイル(虚弱)やサルコペニア(加齢による筋量低下)を予防し、寝たきりリスクを低くします。
スーパーに出かけることひとつとっても、脳へたくさんの刺激を与えます。「歩いて買い物に行く」「スーパーで何を買おうか考え、妥当な値段のものを選ぶ」「店員さんや顔見知りの人と会話を交わす」などなど。
自分の足で歩けなくても車椅子などの手段はありますが、高齢で脚が痛くて歩けなくなった人では一般的に、自宅へ引きこもりになりがち。これが招く社会的フレイルが認知機能低下を引き起こすことは、広く知られています。
第一人者が教える 認知症のすべて