老親・家族 在宅での看取り方

末期肺がん80代男性「幸せな思い出をつくれた。いつ死んでもいい」

最期の時は心安らぐ自宅で…

「病院の無機質な天井を見て死にたくない」

 この発言を機に奥さまがネットで在宅医療の存在を調べ、家族総出で病院と討論しあった末に退院。自宅に戻られた肺がん末期の80代後半の男性患者さんがいらっしゃいました。

 このように、在宅医療の存在をネットを介して知り、自宅での療養に切り替えたという患者さんは最近増えてきています。

 冒頭の患者さんの場合、がんの状態は厳しく、いつ亡くなってもおかしくない状況であり、退院をしぶる病院からは予後をはっきり伝えられていました。それでも医療訴訟を起こしかねないほど強気なご家族に対して、病院の医師も「退院しても責任は取れない」「退院後何かあってうちに運ばれても困る」など強気にお話しされていたといいます。

 ちなみにこの時の退院カンファレンス(会議)には、患者さんのご家族総出で出席し、担当ケアマネジャーや我々診療所の担当者らも同席し真剣な話し合いが行われました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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