老親・家族 在宅での看取り方

脳腫瘍で余命1~2カ月の30代女性「最期の時を家族と過ごしたい」

ご家族の待つ自宅で過ごしたい…(C)iStock

 その患者さんは脳腫瘍終末期のため、大学病院から余命1~2カ月との宣告を受けた30代後半の女性でした。

 当初は病院で積極的に治療することを望まれていましたが、医師からもはやなすすべがないと告げられると、ご家族の待つ自宅で過ごしながら最期まで積極的に治療したいと、覚悟を決め在宅医療を選ばれたのでした。

 患者さんのご両親はそれぞれ遠方に住んでいましたが、そんな娘さんのために同じ屋根の下で暮らすことに。

 一般的に抗がん剤治療を行う場合には栄養剤の投与など、頻繁に点滴を必要とします。点滴や注射のために何度も針を刺していると、血管が細くなったりもろくなったり、次第に針が血管に入りにくくなることがあります。この患者さんの場合も、同じく血管が細くなり、点滴の針が刺さりにくいといった報告を病院から受けていました。

 血管に針が入りにくいと、薬が血管の外に漏れてしまいます。そのため腕の血管からカテーテルを挿入し、心臓に近い太い静脈に液剤を流すPICC(中心静脈カテーテル)を患者さんに提案しました。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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