誰でもできる力いらずの介助術

ベッド編(4)背中にクッションを入れて姿勢を安定させる

(写真1)「写真と動画でわかる!埼玉医大式力がいらない介助技術大全」(講談社)

 寝たきり状態の人の介護では、褥瘡(じょくそう=床ずれ)を防ぐため、定期的に寝返りをさせる介助が必要になる。ただ、寝返りを完了させて相手から手を離した途端、姿勢を保てずに元に戻ってしまうケースは少なくない。

「寝返りした姿勢を保とうとして、相手の腕を強く押さえる介助者は多くいます。ただ、腕を掴むだけでは骨盤が後ろに倒れやすく、上半身もつられて体はあおむけに戻ります。寝返り介助をしたら、介助者は両手で相手の腕の付け根と腰に触れ、姿勢が安定するのを確認してください」

 そう話すのは、力がいらない根津式介護技術を開発した根津良幸氏だ。姿勢が保持されたのを確認したら、体位を固定するため背中の後ろに枕やクッションを入れる必要がある。

 具体的な方法は、①介助者は相手の胸の位置に自分の膝(枕に近い方)をつき、ついた膝と同側の腕を直角に曲げて前にかがみ込む②曲げた腕は相手の背中越しに肘をつき、手のひらを上向きにした状態で肘を相手の背中に当てて密着させる(写真1)③相手の背中に当てた腕を倒し、前腕を背骨に沿ってまっすぐ当てる④空いている方の手で相手の背中の後ろにクッションを置き、姿勢を保つ。

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根津良幸

根津良幸

株式会社One tо One福祉教育学院代表取締役、埼玉医科大学客員教授。近著に「写真と動画でわかる!埼玉医大式力がいらない介助技術大全」(講談社)。YouTubeチャンネル「根津式介護技術」

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