オシム氏が入院…心筋梗塞や脳卒中経験者は腎臓病に要注意

(C)ラ・ストラーダ/六川則夫

■腎機能低下という悪循環

 腎臓は体の老廃物を濾過し、尿として排泄する働きを持つ。その機能が低下すると、血管内皮の収縮や拡張などの機能が失われ、動脈硬化が進み、高血圧を招くからだ。

「腎臓の機能が低下した人は、心臓の太い動脈(冠動脈)や脳血管の動脈硬化が進み、心血管イベントの発症リスクが高まるのです。こういうと一般の人は心筋梗塞や脳梗塞が発症する前に、腎臓の病気が発症しそうに思うでしょうが、必ずしもそうではありません。尿タンパクが出るとか、クレアチニン値が高くなるなど、腎機能が少し低下している状態で心筋梗塞や脳卒中が発症すると、腎機能低下が表面化することは少なくないのです」(松尾院長)

 つまり、心筋梗塞や脳卒中を経験した人は腎機能低下の悪循環の状態に入ったといえるのだ。

「心筋梗塞や脳卒中といった重大病を発症してなくても、血圧が高い人は腎臓の機能低下を疑わなければなりません。ところが、高血圧の正常値をめぐる医学会のゴタゴタから、“血圧なんて気にしなくていい”という風潮がある。残念なことです」

 高血圧を甘く見るな――。

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