天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

60歳を超えた心臓は健診だけでカバーできない

 定期的に職場や自治体の健康診断を受けているという人も多いでしょう。ただ、心臓病を早期発見するには、それだけで十分とはいえません。

 生まれつき心臓にトラブルを抱えている先天性心疾患では、特徴的な心雑音を有することが多いため、健診でも発見されやすいといえます。しかし、大人になってから発症する後天性の心臓病の多くは、もっと踏み込んだ検査をしないと早期発見できないのが現状です。とりわけ、早期の弁膜症、糖尿病による冠動脈疾患の多くは、病気が進行して症状が強くなるまでなかなか発見できません。

 そこで、有効なのが「心臓ドック」です。一般的な健康診断では、心臓病に関わる検査は心電図や胸部レントゲンぐらいしか行われませんが、心臓ドックでは、もっと専門的な検査を受けることができます。「心臓画像診断」(心臓CT、心臓MRI)、「心臓超音波検査」(心エコー)、「BNP検査」を含む血液検査の3つを受けておけば、病気かどうか、治療が必要かどうかをまず間違いなく判断できるでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。