独白 愉快な“病人”たち

漫画家・やくみつるさん(56) 痛風・尿路結石

やくみつる氏(C)日刊ゲンダイ

 人間が大音声を発せられるのは、体が反っている時。「クッ」と体が丸まっている時は大声すら出せないんですね。ブラックホールがすべてをのみ込んでしまうのと同じように、体全体がブラックホールみたいになって発散するものがなく、丸まってしまう。そのくらい痛い。ただ脂汗はにじみ、腹が引きちぎられるようでした。

 この時は「尿管結石」という概念さえ知らなかったので、近所の医者に行ったら「盲腸じゃないか」と言われて家に帰りました。ところが、その数時間後、さらに激烈に痛くなって、国立の医療センターに駆け込んだら「尿管結石」と診断された。肩に注射された記憶があるので、痛み止めを打ったのでしょう。それだけで帰宅しました。

 結石は「砕いて体内から出す」という処置が行われることが多いようですが、自分の場合は自然に出るのを待ちましょうという診断だったと思います。「出てくると思うから観察しててね」と医師に言われ、しばらくの間、茶こしを持ち歩いてました。「石をこの目で見てやりたい」と思ったんです。

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