耳鼻科の病気

鼻炎や無呼吸症候群でドライマウスに…

 65歳以上の高齢者の占める割合が全人口の21%を超えた超高齢社会である日本では、人口の約25%が本症に罹患しているとの報告もあり、約3000万人の患者がいると推計されています。その多くは中高年の女性です。唾液腺は性ホルモンの影響を受けやすく、女性の更年期は唾液の分泌量が減ると考えられているからです。

 もうひとつの原因は他の病気によるものです。涙腺、唾液腺などに慢性的な炎症が生じることにより、目や口腔内に乾燥症状を起こすシェーグレン症候群がその代表です。ほかに、糖尿病や慢性の腎不全が体を脱水状態にさせ、口を乾かせてしまうことが知られています。

 また、ひどい鼻中隔湾曲症や慢性の鼻炎がドライマウスを発症させることもあります。鼻に異常があると、鼻呼吸がうまくできず、口呼吸を行います。そのため、口の中が乾いてしまうのです。睡眠時無呼吸症候群の人も寝ている時に舌が落ち込んであえぐような口呼吸になってしまい、唾液が蒸発し口の中が乾いてしまうこともあるようです。

2 / 3 ページ

大場俊彦

大場俊彦

慶應義塾大学大学院博士課程外科系終了。医学博士甲種日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。日本レーザー医学会認定専門医。日本気管食道科学会認定専門医。米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会フェロー。国際レーザー専門医。厚生労働省補聴器適合判定医・音声言語機能等判定医。日本耳鼻咽喉科学会騒音性難聴判定医・補聴器相談医。