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「カフェイン」「ココナツオイル」で長寿モード

 ただし、ラパマイシンは臓器移植をした人など特殊な状況で使われる免疫抑制剤です。服用している人には糖尿病の発症が増えるなどの副作用もあるため、健康長寿を目的に使用するのは現実的でありません。

 では、私たちがこの知識を生かすにはどうしたらいいでしょうか。

 まずは「カフェイン」に注目です。実は、カフェインの投与がエム・トールの働きを抑え、酵母においてはこれが寿命延長効果のメカニズムであると考えられています。ヒトでも、コーヒーやお茶を長期間摂取すると、糖尿病、心臓病、アルツハイマー病といった病気が改善し、長寿につながるデータが出てきています。

 しかし、カフェインの過剰摂取は逆効果。レギュラーコーヒーを1日1~3杯を目安に飲むといいでしょう。

 2つ目が「ココナツオイル」です。炭水化物を控え、ココナツオイルを取ると、ココナツオイルに豊富に含まれている中鎖脂肪酸が体内でケトン体に変わります。このケトン体がエム・トールを抑制し、長寿遺伝子の「FOXO」(フォクソ)を活性化。体を「長寿モード」にギアチェンジしてくれることがわかっているのです。

 エキストラバージンココナツオイルを1日大さじ2杯を目安に摂取するのがおすすめです。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。