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フランス人は高カロリー食なのになぜ心筋梗塞が少ないのか

 これを解明するカギがレスベラトロールだと考えられています。フランス人は高カロリーの食事を取っている一方、抗酸化作用の強いレスベラトロールを豊富に含む赤ワインを常飲しているから、心筋梗塞が少ないのではないかと言われているのです。

 実はこのレスベラトロールは、前回、説明したカロリー・リストリクション(CR)と同じ効果をもたらすことがわかっています。

 CRとは、食事からの摂取総カロリー量を自由摂取時の70~50%に抑える方法です。CRを実践すると、サーチュイン遺伝子が活性化し、がん、脳梗塞、心筋梗塞、認知症などの加齢性疾患が減ることがわかっています。アカゲザルの寿命が延長したという研究結果も報告されています。

 もっとも、論文で効果が確認されている150ミリグラムのレスベラトロールは、赤ワイン100本分に相当します。実践するとなれば、現実的にはサプリメントで摂取するしかありません。

 レスベラトロールには、酸化されやすく安定性の低いシス型と、より安定性の高いトランスレスベラトロールがあります。成分に「トランスレスベラトロール」と表示されているサプリメントがおすすめです。

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江田証

江田証

1971年、栃木県生まれ。自治医科大学大学院医学研究科卒。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染認定医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界で初めて米国消化器病学会で発表した。著書多数。