Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【つんく♂さんと林家木久扇さんのケース】喉頭がん 明暗分けた初動の違い

左からつんくさんと林家木久翁さん(C)日刊ゲンダイ

「笑点のあの場所をだれかに取られるんじゃないか」という不安とも戦いながら、治療を続けたところ、声が戻り、診断から3カ月後の9月27日、「笑点」に復帰しています。

 木久扇さんは胃がんの経験もあり、検診は毎年受けています。それを踏まえると、喉頭がんが見逃されたと思われるかもしれませんが、喉頭がんの頻度はがん全体の0.6%程度と少なく、一般的な検診には、喉頭がんを見つけるための検査が含まれていません。

 だからこそ、木久扇さんのように自覚症状を見逃さず受診することが大切なのです。声が出にくい、かすれるというときは、すぐ耳鼻咽喉科を受診してください。明暗が分かれた2人の姿は、読者の皆さんの教訓になるはずです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。