“痛み”にも種類がある 知っておきたい「慢性痛」の新概念

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一方、脊柱管狭窄症と診断され、慢性的な腰下肢痛が続いている。画像検査では手術が必要な所見はなく、血液検査でも炎症が確認されない。しかし、痛みが楽にならない場合に疑う必要があるのが「神経障害性の痛み」だ。

「この場合の痛みは、圧迫された神経からの痛み信号が、脊髄に入った段階で増幅され、強い痛み信号として脳に送られて感じることになる」

 侵害受容性の痛みは、いわば患部で火事が起こっているようなもの。火事を鎮める抗炎症薬、すなわち従来の痛み治療で使われてきたNSAIDsが効果を発揮する。ところが、神経障害性の痛みは、神経の障害をきっかけに、炎症や精神的な問題とは関係なく神経自体が過敏になってしまい、痛みを感じやすい状態になっているのが特徴だ。

「そのため、過敏な神経の状態を正常な状態に戻す薬が必要です。この治療に関するガイドラインでは、第1選択としてプレガバリンやアミトリプチリン、第2選択ではノイロトロピン、第3選択では弱オピオイド鎮痛薬(トラマドール)やモルヒネが推奨されています。着目する点は、通常の痛み止めであるNSAIDsは治療薬に入っていないことです」

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