アレルギー疾患の原因物質(アレルゲン)といえば、ハウスダストの中に含まれる「ダニの死骸やふん」がよく知られるが、あなどってはいけないのは「カビ」だ。
一般に「カビ」と呼ばれているのは真菌(キノコ、カビ、酵母)のひとつで、人に健康被害をもたらすのは室内の空気中やハウスダストの中にいる微生物のカビと酵母(ここではカビに統一して表記)になる。
住宅環境のカビを研究する工学院大学・建築学部の柳宇教授はこう言う。
「現在、Ⅰ型アレルギーを起こす真菌は80属200種類が確認されていますが、一般の室内で70~90%の確率で検出されるカビは、クロカビ、コウジカビ、アオカビの3種類です。いずれもアレルゲンになり、汚染がひどい場合は特定のカビのみが多く検出されるケースが目立ちます」
汚染とは、室内でカビが大量に増殖している状態だ。アレルギー治療の現場でカビが注目されることは少ないが、それは国内のカビアレルゲンの研究が遅れているせいでもあるという。
健康は住まいがつくる
【アレルゲン】せき・喘息は室内のカビが原因
クロ、コウジ、アオの3種類が代表