しなやかな血管が命を守る

【肺血栓塞栓症】血の塊が肺血流を止めて突然死をもたらす

(C)日刊ゲンダイ

 これに肺動脈造影CT検査で血栓の詰まりが確認できれば確定です。

 肺血栓塞栓症はほとんどが重症で、2割程度は肺梗塞となります。死亡率は14%で、ショックになると3割が死亡するといわれています。

 しかし、適切な治療で死亡率は2~8%程度に抑えられるとの報告もあり、迅速な診断と積極的治療が大事です。

 急性肺血栓塞栓症の治療は、①血栓を溶かす②血管内治療、そして③外科的治療のいずれかです。

 ヘパリン、抗トロンビン薬や第X因子阻害薬などの抗凝固薬も使われますが、ショックなどがある重症患者では、ウロキナーゼや組織プラスミノーゲン・アクチベーター等の血栓溶解剤を使います。また、カテーテルを肺の血管の中まで挿入して、血栓を溶かしたり壊したり吸引して取り除く血管内治療も行われます。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。