医療安全教育は、組織的にすべてのスタッフに対して行われていなければなりません。
しっかりした教育を受けている医師や看護師といった医療従事者はきちんと対策を実践しているが、そうした教育が不十分な研修医は対応を誤ったりミスをすることがある……。これでは、患者さんが深刻な被害を受けてしまう可能性があります。
■全体に教育と意識が浸透していることが重要
ミスにはさまざまなものがありますが、いちばん“単純”なものでいえば、患者さんの「取り違え」です。薬を間違えて出してしまった。検査データを取り違えて必要のない治療をしてしまった。治療する部位を左右取り違えてしまった……。さまざまな場面で多岐にわたる取り違えが報告されています。
単純ミスといえども、事は重大です。昨年、千葉県がんセンターでは、深刻な取り違え事故が起こっています。患者さんの病理検体を取り違え、必要がない患者さんに対して右乳房全摘手術が行われてしまいました。他の病院でも、薬の過剰投与や別の薬との取り違えによって、患者さんが亡くなるという事故がこれまで何件も起こっています。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」