天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

院内に「安全対策部門」があるかを確認

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 しっかりした「医療安全対策」が実践されている病院かどうかを見極めることは、患者さんにとって非常に重要です。最悪の場合、それが自分の命に関わるケースもあるからです。

 医療安全対策についての教育や意識が、すべてのスタッフに浸透している病院なのかどうか。それを患者さんが確認するには、まず、病院内に「安全対策室」のようなものが設置されているかどうかをチェックすることです。近年は、多くの病院で医療事故防止に力を入れるようになってきています。医療安全対策にしっかり取り組んでいる中規模以上の病院ならば、必ず「安全対策」のための部門があるはずです。病院の受付で、そういったものがあるかどうかを尋ねてみるのもいいでしょう。

 また、第三者機関から「病院機能評価」の認証を受けているかどうかを確認する方法もあります。私が勤務している順天堂大学医院は、昨年12月に国際的な病院機能評価機構「JCI」の認証を取得しています。JCIは、米国のシカゴに本部がある国際的な病院機能評価機構で、世界基準で患者さんの安全性が確保されているか、適正な高度医療が提供されているかを詳細な項目で厳格に評価する非営利の団体です。現在、日本では17施設が認定を受けていて、年々増えていく予定です。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。