Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【南果歩さんのケース】乳がん 8割は乳房を温存できる

■12人に1人が発症

 さて、乳がんは主に乳管にできるがん。乳房を温存できる進行が遅いタイプと、進行が速く転移や再発を起こしやすいタイプがあります。その比率は4対1で、温存できるタイプの方が多い。前者は、進行が遅く、2年に一度のマンモグラフィー検査を受けていれば、まず大丈夫です。

 一方、昨年乳がんを告白したタレントの北斗晶さんは、2年前の秋の検診でがんが見つかっておらず、その後3~4カ月で進行したようで、後者の進行が速いタイプでしょう。後にリンパ節の転移も判明しています。

 どちらのタイプかは、疑わしい部分の組織を一部採取して、悪性度を調べれば分かります。南さんの乳がんの悪性度がどうなのかは分かりませんが、手術された決断を踏まえると、後者だったのかもしれません。だとすれば、早期発見を可能にした夫婦の力には、目を見張るものがあるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。