Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【被災時の注意点】がん患者はエコノミー症候群になりやすい

避難所では時々ストレッチを(C)日刊ゲンダイ

■おしぼりで入れ歯掃除

 とにかく感染症予防が大切。うがいは一度に多くの水を含むより、少量ずつ口に含んでは吐き出す方が効果的。歯磨きは歯磨き剤を使わず、歯ブラシを水で濡らしてゴシゴシやるだけでもよく、入れ歯は使い捨てのおしぼりで拭きます。針金部分は歯ブラシやティッシュなどで清掃を。あくまでも被災時の応急処置ですが、感染症予防に必要ですからぜひ心掛けてください。

 在宅で緩和ケアを受けている方が、医療用麻薬を持って避難できないこともあるでしょう。この場合も、がん診療拠点病院のがん相談室に相談するとよいと思います。

 周りの避難者のこともあり、ちょっとしたことは往々にして我慢しがちですが、発熱や痛みの増悪、腫れ、下痢など何らかの感染症が疑われるときは、ためらわずにすぐ相談することが大切です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。