Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【被災時の注意点】がん患者はエコノミー症候群になりやすい

避難所では時々ストレッチを(C)日刊ゲンダイ

 その予防には、手足のストレッチを。やむを得ず窮屈な姿勢をとらなければいけなくても、数時間おきにやりましょう。避難所に災害救助看護師がいる場合は、脚の血流をよくする弾性ストッキングをはくのもいいでしょう。

 もうひとつは、抗がん剤で治療を受けたケース。胃がん、肺がん、大腸がんの3大がんの場合、1~2週間治療が遅れても、病状が急激に進行することはまれで、まず生活を整えることが優先です。しかし、白血病はじめ血液がんは治療の継続が重要になります。

 大震災では、普段受診している病院での診療ができなくなることもあるでしょう。そういうときは、地域のがん診療拠点病院のがん相談室に連絡することです。

 抗がん剤治療では、白血球が減少することもあり、感染症の予防から抗生物質が処方されることが少なくありません。それを持って避難できた方は薬の服用を続け、持ってないときは避難所の看護師などに相談することです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。