Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【早期がん】末期とはこんなに違う医療費と生存率

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 サラリーマンの方なら自己負担は3割、高額療養費制度で実際の負担額はもっと少なくなるとはいえ、その差は大きい。がんを早期で見つけるメリットは、医療費の点からも大きな意味があるのです。

 毎年約100万人ががんになりますが、そのうち3人に1人は20~64歳の働く世代。現役世代で亡くなる方は、半数ががん。がんは高齢者を苦しめる病気ではなく、現役世代の病気ということです。それだけに早期に発見して、体の負担が少ない治療を受け、高い確率で社会復帰することが、家族にも家計にも大切なのです。

 広島県は、がん検診が企業に与える経済的な影響を調査。企業ががん検診を実施して早期がんを見つけたケースと、実施せずに末期で見つかったケースを比較した結果、早期で見つけると、差し引き405万円の遺失利益を取り戻す効果があることが分かりました。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。