板橋中央総合病院乳腺外科の上野貴史医師は言う。
「乳がん治療に使われる抗がん剤には、吐き気、脱毛、白血球の減少などの副作用があります。ステージⅣで、差し迫った生命への危機がない場合には、副作用が軽く患者さんの負担が少ないホルモン療法を選択することが多い。ステージⅣの場合、根治は困難なため、治療の目的が緩和、延命となるからです。ただし、女性ホルモンに対する受容体がないタイプはホルモン療法が効かないため、最初から抗がん剤による治療が行われます」
ステージⅢで術前に治療する場合は、ホルモン剤よりも抗がん剤治療の方が奏功率が高く、そちらが選択されるという。
「ステージⅢの場合、抗がん剤の効果でがんが縮小し、手術が可能になるケースも多くあります。根治が望めるため、副作用があっても効果の高い抗がん剤が優先されるのです」