Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【林家木久扇さんのケース】咽頭がん2大リスクはたばこと酒

林家木久翁さん(C)日刊ゲンダイ

■声のかすれを放置してはいけない

 日本酒1合は、ビールなら中瓶1本、焼酎なら0.6合、ウイスキーならダブル1杯、ワインなら4分の1本、缶チューハイなら1.5缶。こうしてみるとドキッとされる人もいるでしょう。毎日毎日、アルコールやたばこの刺激が少しずつ蓄積され、30~40年で喉頭がんを発症するのです。

 喉頭がんのリスクを少しでも減らしたければ、酒とたばこをなるべく控える。毎日晩酌する人は量を減らしたり、休肝日を設けたり。たばこを吸う人は頑張って禁煙するか、せめて本数を少しずつ減らしていくのが無難です。

 木久扇さんは声がかすれたことに違和感を覚えて受診。喉頭がんのステージ2と診断されたものの、放射線治療で無事、仕事に復帰しました。皆さんも声のかすれを自覚したら放置せず、すぐ耳鼻咽喉科を受診することです。そうやって早期発見、早期治療を心掛ければ声を失わずに済みますから。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。