Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【林家木久扇さんのケース】咽頭がん2大リスクはたばこと酒

林家木久翁さん(C)日刊ゲンダイ

 実は、喉頭がんになるリスクが高い人はハッキリしています。1つは、「男性」です。昨年発症した人のうち、4300人が男性。女性の10倍と圧倒的です。

 もう1つが、「たばこを吸う人」。たばことがんの関係でいうと、肺がんをイメージされる人が多いでしょう。しかし、肺がんより喉頭がんの方こそ、たばこの影響が強いのです。

 男性の場合、たばこを吸う人が喉頭がんになるリスクは、吸わない人に比べて32倍。肺がんは4倍ですから、その差は歴然。肺がんになる人は70%がスモーカーですが、喉頭がんは90%超。ほとんどがスモーカーなのです。

 3つ目が飲酒。日本酒換算で毎日1.5合以上飲む人が喉頭がんになるリスクは、飲まない人に比べて8倍。さらに喫煙が重なると、喉頭がん発症リスクは30倍にハネ上がるとされます。

 喉頭がんの発症のピークは60代前半。毎日1~2合の日本酒を飲み、たばこを1箱以上吸い続けていると、定年前後で喉頭がんになりかねないということです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。