年を取ったらクスリを見直せ

副作用が多い睡眠薬はなるべく使わない

 それでも、不眠が続く場合に、睡眠薬での治療を検討します。睡眠薬は多くの種類がありますが、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」が最もよく使用されています。脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用し、脳の働きを抑えて催眠作用を発揮するものです。

 ただ、ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、転倒・骨折、日中の倦怠感などの副作用が出るリスクがあるので、可能な限り高齢者の使用は控えるよう推奨されています。

 中でも「トリアゾラム」(一般名)は、健忘のリスクがあるため、注意が必要です。実際、トリアゾラムを服用していた高齢者が、夜食を食べているのに、本人はまったく覚えていなかったという事例もあります。

 さらに、睡眠薬は急に服用を中断すると、もっと危険です。薬を急にやめると「反跳性不眠」が表れ、かえって眠れなくなってしまうのです。

 睡眠薬の服用を中止するには、「徐々に少なくする(漸減)」などの方法があります。詳しくは医師や薬剤師に相談してください。

2 / 2 ページ

中尾隆明

中尾隆明

1985年、愛媛県生まれ。愛媛県立南宇和高等学校を経て岡山大学薬学部を卒業。2008年からこやま薬局(岡山県)で管理薬剤師を務め、現在は企画運営部主任として各店舗のマネジメントを行っている。8月に著書「看護の現場ですぐに役立つ くすりの基本」(秀和システム)を発売。