■単独のトラブルには強い臓器だが…
心臓は生命を維持するためになくてはならない臓器で、休むことなく動き続けています。止まってしまうと、血液の流れや細胞の動きも停止して生きていくことができなくなります。それほど重要な臓器だからこそ、余裕があってトラブルに強くできているのです。
トラブルによって一部が機能しなくなっても、残りの部分がそこをカバーして働く「代償能」というシステムがあるため、適応能力も非常に高い。たとえば、4つある弁の1つがトラブルを起こして血液の逆流があったとしても、動きだす段階で少し不自由するだけで、あとは大きな問題もなく乗り切れてしまいます。つまり、心臓は何か不具合が起こって自覚症状が出ても、いったん落ち着かせてしまえば、しばらくは問題が起こらない。単独のトラブルに対しては非常に強い臓器なのです。
しかし、トラブルが2つ重なると、いきなりガクッときます。たとえば冠動脈であれば、詰まっているのが1本だけならそれほど問題はないのに、2本詰まると重篤な心筋梗塞になったりします。弁も2つが機能しなくなると、心不全を起こしやすくなります。
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