天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

元祖“神の手”はやっぱり驚異的だった

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 また、年によってはダブルボギーがあって「12アンダー」になってしまう場合もあります。手術そのものはうまくいっても、その後の合併症で回復に時間がかかってしまったり、入院が長引いてしまったり、不幸にも亡くなられてしまうケースもあるからです。

■一年365日手術を行って速さと完成度を追求

 福島先生に同じように例えていただいたところ、18ホールで「30アンダー」の手術を行っているとのことでした。30アンダーというと、15ホールでイーグルを取っていることになります。ショートホールが4つあるので、少なくとも3回はホールインワンしなければなりません。つまり、福島先生は狙ってホールインワンを取りにいけるくらい微細で完成度が高い手術を行っている。少なくとも、自分自身でそれくらいの手応えが感じられる手術をしているということです。これは、まさに神業といっていいでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。