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米で激増する「ドラッグ過剰摂取死」が臓器移植に貢献

 それでも移植が一刻を争う場合は、リスクを知りながらも手術を受けるケースもあるといいます。また、「処方薬依存症の患者は全般的に若く健康であることが多い」と専門家はコメントしています。

 アメリカでは運転免許証取得の際に、書類に臓器移植の意思の有無を記す欄があります。ワシントン・ポストの記事では、薬物依存症で死亡した若い男性の母親が「息子はドラッグという悪い選択をしてしまったが、臓器移植という選択は正しかった」と語っていました。その男性の腎臓と肝臓は3人の患者に移植され、肺は研究機関に寄付されたそうです。

 薬物依存症死という悲劇が、臓器移植を待つ12万人の患者にとっての希望になっている。なんともやるせない現実があります。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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