天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓疾患は“答え”がほぼ解明されている

順天堂大学の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 まだ解明されていないのは、心筋がどんどん傷んでいく病気がどうして起こるのか、生まれつきある心臓や血管の構造上の奇形が一定の割合で表れるのはどうしてなのかということくらいです。そして、それらに対して遺伝子介入するなどして予防や治療ができないかといった研究が進んでいけば、特殊な肉腫や極めてまれな例を除いて制圧できる病気といえます。これが、たとえばがんのように突然変異といった要素が入ってくる病気となると、そう簡単ではありません。勝負事にたとえると、心臓病はチェスみたいなもので、駒を取ってしまえばもうそれは使えなくなります。一方、がんは将棋で、いったん取った駒でも再び使うことができます。がんを一度取り除いても、体質などの要因によって転移が起こったり、別のがんができたりするので、心臓疾患=チェスと比べるとはるかに複雑です。シンプルでやるべきことがハッキリしている心臓疾患は、いたずらに怯える必要はない病気なのです。

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天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。