天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓も冬支度を忘れるな

順天堂大学医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 12月に入って一気に寒くなり、いよいよ冬本番を迎えます。この季節は、心臓疾患を抱えている方はもちろん、高血圧、高血糖、高コレステロールといった心臓の危険因子を指摘されている方は、“心臓の冬支度”をしてください。

 まず、寒くなると血圧が上昇します。体の熱を逃がさないように血管が収縮するためです。血圧が高くなると血管にも大きな圧力がかかり、傷つきやすくなります。その傷からコレステロールが入り込んでプラークを形成し、動脈硬化を促進するのです。さらに、動脈硬化が進んでいる状態で急激に血圧が上がると、心筋梗塞などの発作を起こして突然死を招くリスクが上がります。

 普段から血圧を下げる薬を飲んでいる人は、冬になったら「いま飲んでいる薬で問題がないかどうか」を見直す必要があります。

 また、寒い日の早朝は、掃き掃除や運動にも気を付けましょう。心臓発作は、早朝や起床直後に起こりやすいというデータがあります。寒い朝、起きてすぐに重い物を持ち上げたり、階段の上り下りをしたり、掃除などで体を動かすと、急激に血圧が上昇し、脈拍が増えて心臓の負荷が上がってしまうのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。