独白 愉快な“病人”たち

大谷昭宏さん 病気で「死」に対する心持ちが変わった

ジャーナリストの大谷昭宏さん(C)日刊ゲンダイ

 新聞記者時代からずっと人の死と関わってきました。今日もどこかで事故にしろ、事件にしろ、亡くなる人がいて、ニュースで「死」を扱うことも多いです。誰でもいつか死ぬことは知っていますし、若い頃より死が近くなっているのは確かでしたが、病気をしてからは一層身近になりました。ちょうど抗がん剤治療の最中に東日本大震災の取材をしまして、それまでとは「死」に対する心持ちが変わったことも自覚しました。

 もうひとつ収穫だったのは、自分が視聴者にどう見られているかということです。この病気で7月下旬から9月下旬までレギュラー番組を休ませていただきましたが、それを事前に告げた際、病気のことを詳しく言わなかったので、たくさんの問い合わせがあったと聞きました。「大谷さんはどうしたんですか?」「大丈夫ですか?」という心配の声にまじって、「なぜ辞めさせられたんだ?」「いったい何をやらかしたんだ?」との問いが非常に多かったと(笑い)。こんなふうに見られていたんだなぁと分かって面白かったですし、あらためて仕事のやり甲斐を感じましたね。

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