有名病院 この診療科のイチ押し治療

【反回神経麻痺】東邦大学医療センター大森病院・耳鼻咽喉科(東京都大田区)

東邦大学医療センター大森病院の松島康二医師(提供写真)

 外科手術ができる施設でも、どちらか片方の術式しかやらないケースが多い。しかし、同科は2つの術式を同時に併用。それだけ音声改善が確実になるという。松島医師は、2009年に喉頭形成術のパイオニアである元京大教授の一色信彦医師のもとで技術を習得した。

 両術式をマスターする医師は、国内では20~30人しかいないという。

 手術時間は、披裂軟骨内転術が1時間半、甲状軟骨形成術が1時間で、縫合に30分ほど。術後はできるだけ筆談で過ごし1週間後に抜糸して退院。退院後は声を出してもいいが、手術による喉の腫れが完全に治まるまで3カ月くらいかかる。合併症は、術後の喉の腫れがひどい場合には気管切開が必要になるが、同科では過去約100例中1例だけだという。

「手術をすれば、少なくとも元の声の状態の8割くらいまでに改善させることができます。また声帯が動かないことで、食べ物が気管に入ってむせ込んでしまう嚥下障害も、みなさんとても良くなっています」

■データ
1925年、帝国女子医学専門学校付属病院として開院。
◆スタッフ数=常勤医師12人
◆年間初診患者数(2016年)=3189人(うち反回神経麻痺の患者数=約60人)
◆反回神経麻痺の年間手術件数=20~30件

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