1960年代後半、喫煙者は男性の80%以上、女性は10%程度でした。当時の映画の中では、俳優がカッコよく煙をはいているシーンを見せていました。その後、少なくとも約20年間は、たとえ病院の診察室でさえ愛煙家の医師によって、また夜勤の看護婦(師)さんの控室でも、火災用のスプリンクラーが作動するのではないかと思われるほど、たばこの煙に満ちていたことがあるのです。今ではとても信じられないことです。
肺がん患者は男性が圧倒的に多く、65~70%を占めています。そうした時代を過ごされて高齢になり、発症された方がたくさんいらっしゃいます。いま喫煙者が減ったとしても、すぐには肺がんが減ることはないのです。
大きな問題は、1年間にがんと診断される患者さんの数は肺がんよりも大腸がんや胃がんの方が多いのに、亡くなる患者さんは肺がんが一番多いということです。大腸がん、胃がんは早期診断によって内視鏡で切除できる患者さんが多いこともその理由のひとつとして挙げられます。しかし一方で、肺のX線検査はとても簡便ですし、早期で見つかれば肺がんでも80%の方は治癒します。
がんと向き合い生きていく