がんと向き合い生きていく

死亡者数が最多 肺がんを減らすにはまだまだ時間がかかる

都立駒込病院名誉院長・佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 一方では、たばこを吸わない方の肺がんもあります。たばこだけが肺がんの原因ではないのです。肺がんには、「小細胞肺がん」(約20%)と「非小細胞肺がん」(残り80%)があります。小細胞肺がんは進行がとても速いのですが、抗がん剤、放射線治療も有効で、限局して見つかると治癒される方も多くみられます。

 非小細胞肺がんには、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどがあります。特に女性の肺がんは、肺野(肺の中)にできる腺がんが多く、早期では咳などの症状が表れません。手術できるのはⅠ~ⅢA期(リンパ節転移が少ない)です。放射線治療、化学療法も大変進歩しましたが、完全に手術で取り切れるかどうかが重要になります。

 肺がんは、まだまだ減らないと思いますが、早く見つけて治すことが肝心です。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。