数字が語る医療の真実

コレステロール摂取量が多いとがんになりやすいは本当?

何事もほどほどが一番(C)日刊ゲンダイ

 ただ、この結果の解釈には注意が必要です。検査の時点でがんのために栄養状態が悪化し、結果としてコレステロールが低くなっている可能性もあるからです。そこで、そうした影響を避けるために、がんのためにコレステロールが低いような人は5年以内に亡くなってしまう可能性が高いことを考慮し、研究開始から5年以内に亡くなった人を除いた分析も行っています。結果は、コレステロールの低い人でがんによる死亡が多く、コレステロールが低いためにがんが多い可能性も否定しきれていません。

 コレステロールの取りすぎは問題です。しかし、少なすぎるのもだめなようです。ほどほどのコレステロールが案外一番いいのかもしれません。

2 / 2 ページ

名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。