Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

大腸がん 3年連続の便潜血検査なら97%の確率で見つかる

グズグズせずに内視鏡検査を受けよう(C)日刊ゲンダイ

 春の健診シーズンで、その結果に一喜一憂している人もいるでしょう。今回は、健診メニューのひとつ、「便潜血検査」、いわゆる検便についてです。

 表面をこするように採取した便に、血液が含まれているかどうかを調べるもの。大腸の粘膜にキズがあると、そこから出血、検査結果が陽性に。原因として最も怖いのが大腸がんで、大腸がんを早期発見するために大切な検査です。

 ポイントは2回分の便を採取すること。大腸がんの発見率は、1回だと45%とそれほど高くはありません。2回だと70%にアップします。さらに2年目(合計4回)は91%、3年目(合計6回)は97%とグンと精度が上がるのです。

 そこで陽性だと、大腸内視鏡検査で詳しく調べますが、現実には内視鏡での見落としもあることから、大腸がんは8割が早期発見できるとされます。ステージ1だと、5年生存率は99%。早期発見すれば、ほぼ治るのが大腸がんです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。