Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

大腸がん 3年連続の便潜血検査なら97%の確率で見つかる

グズグズせずに内視鏡検査を受けよう(C)日刊ゲンダイ

 ところが、大腸がんは患者数も死亡数も増え、昨年は14万7200人が発症し、5万1600人が亡くなったと予測されています。米国の死亡数予測は5万260人と、ピーク時の半分程度になっているのとは対照的でしょう。

 なぜか。大腸がんは運動不足や肥満、肉の食べ過ぎなどメタボな生活が大きな原因。欧米型のがんの典型で、メタボの広がりとともに急増しているのです。もうひとつは大腸がん検診の受診率が2割と低いこと。これも米国の半分以下です。

 その2つが重なって、人口は米国の半分程度の日本で、米国に匹敵する人が大腸がんで命を落としているのです。検便に抵抗があっても、ぜひその考えを改めるべきといえるでしょう。

 仮に検査結果が陽性でも、すべてが大腸がんとは限りません。ポリープや痔の可能性もよくあります。しかし、3割程度の確率で見つかるポリープは、がん化の恐れがありますから、早いうちに内視鏡で切除すれば、大腸がんの“芽”を摘み取ることができます。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。