“新しくない”新薬が続々登場 古い薬が見直されているワケ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 抗マラリア剤である「クロロキン」は、眼底の黄斑障害により視野が狭くなるという重篤な薬害を引き起こした。しかし、2015年からクロロキンの誘導体ヒドロキシクロロキン(プラケニル)が、皮膚及び全身性エリテマトーデス、関節リウマチの治療薬として使われている。

 なぜ、薬の見直しがこれほどまでに続いているのか? 医学の進歩でこれまでわからなかった作用機序や新たな薬理効果が明らかになってきたこともあるが、大きいのは製薬会社のフトコロ事情だ。

「いまやあらゆる薬物が調べつくされたため、新しい薬物が医薬品として世に出る確率は3万分の1以下。薬の開発には20年近い年月と数百億円の資金が必要とされていますが、いまは医薬品にならない可能性が高いのです。しかも、主力薬品の特許切れにより各製薬会社の収入が劇的に減少して、新薬開発への投資額が減らされている。これを打破するのが既存薬再開発(ドラッグリポジショニング)なのです」

 今後は、比較的安くて安全な“古くて新しい薬”が出てくるだろうが、画期的新薬というものは少なくなるのかもしれない。

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